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猫の森事件帖・・・死んだ伸子がお別れに来た



東京での不思議な出来事です。

朝、にゃ・・・と、呼ばれて窓を開けると・・・洋猫です。
じっとこちらを見て、にゃ・・・と、何度も鳴くのです。
驚きました。伸子がパリで飼っていたミミにそっくりです。
そうか、伸子は天国でミミに再会したのだな、と、うれしくなりました。

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実は前の日に、買ったばかりの姿見が、突然バタンと倒れ、割れてしまいました。
縁起が悪いし・・・いやだなぁ、と思っていました。
疲れていたこともあり、ひどく落ち込んでいたのです。

母の墓参りに行くはずでしたが、やめました。
香舟先生も気になるものの、なんだか元気が出ません。
ミミと見合っているうちに、あっ・・・と、思いついたことがあります。

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40年も前に、パリを去るときに伸子がくれたビーズの小箱です。

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割れた鏡に張り付けました。
こんなことは、パリでよくやったような気がします。
蚤の市で買ったものを、二人で繕ったり、古いレースを絹の下着に縫い付けたり・・・。
そんな楽しかった日々を思いだしながら、ひとつひとつ張り付けていくのは楽しい仕事でした。
そうか・・・こんな遊びを思いださせるために、鏡を割ったのも伸子のいたずらかもしれない・・・などと思いました。

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朝から暗くなるまで、一歩も外に出ずに張り付けました。

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とても不思議なことに、小箱のビーズは、ひとつ残らずなくなりました。
まるで計ったように・・・不思議だわぁ。

その日、伸子を看とってくれた人から、77日忌(49日)が無事に終わったとの知らせがありました。
ミミとともにお別れにきてくれたのかも知れません。

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ネットで買った安物の鏡が、大変身。
あの時のプレゼントが、時を経て、こんな素敵なプレゼントになりました。

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"洗練されたおしゃれ、わがままで力まず、現実感がなく、浮世離れした在りかたは、精神の豪奢と優美に裏付けられていた" とありました。
そばにいてくれた人が、彼女をよくわかってくれていた・・・なによりだと思いました。

銭湯に行ってゆっくりとお風呂に浸かり、帰りに安物のワインを買って、伸子に乾杯しました。
さよなら伸子・・・ありがとう。










Commented at 2019-04-06 17:49
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by YuccaR at 2019-04-07 07:15
彼女の本、猫のカーチャの絵にそっくりですね。青目さんのようすを見にきたとしか思えませんね。
こんなに思われている信子さん・・幸せですね。
Commented by fran9923 at 2019-04-07 10:38
なんと!!
そうとしか思えない出来事でしたね。
そしてよくビーズを貼り付けようと思いましたね。
ものすごく素敵な姿見になりましたね。きっとこの鏡を見るたび思い出すことでしょう。
Commented at 2019-04-07 10:58
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by めい at 2019-04-07 11:09
読ませていただいて 全身が総毛だつような気がしたました。(悪い意味ではありません)
こんなふうに会いに来てくれることがあるんですね。
先日 本当に急に あっけなく 愛犬が身罷りました。
私の元にも どんな形であっても 会いに来てくれないものかと思うのです。
(まだ側にいるような気はしているのですが)
Commented by kuukau at 2019-04-07 12:10
素敵な姿見に変身とはいえ、友を失うほど辛いことはないね。
歳だからお別ればかりがコレからは続く、と頭では分かっていても、心は別ですものね。
落ち込んで、落ち込んで、時が解決したら又元気になれますよ。残された時間を存分に楽しんで終わりたいわねぇ・・・
Commented by aomeumi2 at 2019-04-07 12:11
鍵コメさま
そうですか、お読みになられたのですね。猫の本は、私は見ていないのです。どこかで探してみようと思います。
「眠らない都市」は、ある意味、とても難しい本でした。やっと・・・という感じで読みました。しかし、こういう本が少なくなりましたから、知的層には受けていたようです。エッセイ賞をとりましたが、この時の審査員は、井上ひさし、東海林さだお、林真理子・・・二人の男が、林真理子に土下座しての受賞だったそうです。授賞式で、ご機嫌斜めの林真理子が暴露したことです。
岸恵子・・・はは・・・そんな年ではありません。あの方とは20才くらい違いますし、船でいらしたのではないかしら。

それにしても、鍵コメ・・・が不思議です。
鍵コメの意味が、私には不明です。
どうしてかなぁ・・・と、時々、考え込んでしまいます。
Commented by aomeumi2 at 2019-04-07 12:16
YuccaRさま
ちょっと、似ているかも知れませんね。でも、ミミは冒険はしない・・・飼い主に似て、わがままでレイジーな猫でした。
77日忌というのが、ちょっとわからなくて・・・調べたら49日のことでした。お別れにきて、ちょっといたずらし、あちらへ旅立ったのだと思っています。
思っているのではなく・・・会えなくて、ちょっと後ろめたい気持ちがあったのでしょう。それは、お互いさま・・・と、言われたようで、救われました。
本が出来上がるのを楽しみにしているのです。
Commented by aomeumi2 at 2019-04-07 12:19
fran9923さま
香舟先生が、あちらとこちらを行き来するご様子を見ていて、感化されたのかも知れません。ま、暇ってことでしょう。
疲れたときには、死んだ人と遊ぶの楽しいな・・・と。
あはは、まるで寺山修司の世界です。これも感化 ?
1990円の驚きの安さの鏡・・・大変身です。うれしい。
Commented by aomeumi2 at 2019-04-07 12:22
鍵コメmさま
ファッション映画ですか ? 始めて聞く名前です。
東京でやっているのですか ?

しかし・・・わぁーーーっ、まただ・・・なにゆえ鍵コメ??

Commented by aomeumi2 at 2019-04-07 12:25
めいさま
ごめんなさい・・・大丈夫ですか ?
年のせいでしょうか、こういうことが、なんだか楽しく、うれしくもあるのです。
ある種の現実逃避・・・かも知れませんね。
そばに来ている感じは、ずっとしていました。その気配がなくなるのは、ちょっと寂しいです。
Commented by aomeumi2 at 2019-04-07 12:27
kuukauさま
少し年下でしたからねぇ・・・しばらく会っていなかったことも、こたえました。
そうですね、お別れはこれから増えるのでしょうね。
本当に・・・せめて残された時間を充分に味わうことにしましょう。
Commented by wendy0209 at 2019-04-10 09:40
お久し振りです♪雪のお蔭で久し振りに椅子に座ってますw
ビーズ 美しい…鏡に飾るともっと美しい
素晴らしいアートですね
もっともっとビーズがあったら 私の粗が隠れるくらい覆ってたら
お譲りください!と お願いずるのになぁ~
とっても 久しぶりに美しモノを魅せて頂きました
ありがとうございます
ユキ ドンドンツモッテマス
Commented by mayumi-roma at 2019-04-11 21:01
青目海さま、はじめまして♪
エキサイトの海外生活ブログジャンルで見つけて、10年後の自分かもしれないと、大変興味深く読ませて頂いています。
3月16日の「死者との再会…思い出の品々」で伸子さんのお手紙「もうすぐ30になるけど・・」を読んで、一人たそがれていた私ですが、伸子さんが海さんに会いにいらしたことを知り、感無量です!
コメント欄で拝見した「眠らない都市」は伸子さんのご著書ですか?
ざっと検索してみましたがヒットしませんでした。
もし差し支えなければ、出版社名と伸子さんの筆名を教えて頂けますでしょうか?
Commented by aomeumi2 at 2019-04-12 09:26
wendy0209さま
まぁ、お久しぶりです。お元気そうですね。
割れた鏡・・・本当にがっかりしたのですが、意外な展開となりました。何かあっても、解決策はあるのだと教えられました。割れた鏡もビーズも、使われないままだったわけですから。
とても気にいっています。
だからといって・・・わざわざ割らないでね。
まだ雪でしたか・・・また、春のお庭を楽しみにしています。
Commented by aomeumi2 at 2019-04-12 09:32
mayumi-romaさま
痛手が大きく・・・こんなことばかり考えるのです。でも、本当に不思議なことが起こります。考えてみれば、生きていたら、こんなふうに思わず、会うこともなかったのかも知れません。いなくなったからこそ、強く思うのかも知れません。それはよかったと思っています。
ごめんなさい・・・題名を間違っていたようです。
「不眠の都市」(講談社)だった・・・伸子は、これを怒って知らせようと来たのかも知れません。到津伸子です。
その他も出てくると思います。
もうすぐ、絶筆が出るはずです。ありがとうございます。ローマにお住まいなのですか ?
by aomeumi2 | 2019-04-06 17:18 | 猫の森・事件帖 | Comments(16)