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Paris モハメッドの・・・人生最悪の日


ものすごく・・・長いです。
お忙しい方は、お暇なときに。

帰国前日、パリに長く住む画家のYと会いました。
いつもは、サンジェルマン・デ・プレのドゥ・マゴとかパレットあたりで一杯飲んで、
それから、ちょっといいレストランに連れて行ってもらうのですが・・・

あんなとこに、もうフランス人いないよ。田舎の観光客ばかり・・・ということで、オデオンのホテル近くのカフェで会いました。
そういえば、華やかかりしかのモンパルナスのル・ドームもロトンド界隈も、だいぶ前にすっかり変わってしまいました。

いた・・・期待通りの素敵なフランス人がたくさん、いた・・・訳あって、写真がありません。

これは、二年前の市場のあたり・・・。

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夫が気にいっていたカフェ・・・まずいと評判のパン屋の前です。
行ってみたら、なんだか様子が違う。
長い間、お気に入りだったセーヌ通り界隈が、素敵な花屋がなくなってから、どうも様子が変わって来た。

現在は、お客が少なく、店員もぞんざいになって元気がない・・・給料が減ったか ?
どこかから取り寄せていたらしい、おいしいパンも・・・おいしくなかった。(前で買ったか ? )

この写真も、二年前、にぎわっていた頃です。

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暑いので、Y とは、夜の8時に会いました。
オデオンのフクロウという名のカフェで一杯飲んで、それから目の前のイタリアンに行きました。
この小さな交差点が、とても洒落ていて・・・ゼラニュウムで窓を飾った美しい建物、通るのは、いかにもパリらしい人々・・・飽きない。
眺めの良い、外のテラス。よく気の効いたウエイターのサービス。完璧です。
トマトとモッツァレラの前菜に、私はラビオリ、Y はボンゴレ、夫は舌平目を食べました。
こんなにうまい舌平目は始めて食べた・・・と、元漁師の言葉にYが喜びました。
経営者の80才のおばあさんが、挨拶に来るというので、裏にあるアイスクリーム屋から、デザートを取ってもらい、待っていましたが・・・
遅くなったので帰りました。


ここは、以前よく泊まっていたホテル・・・
中は木と漆喰の、とても素敵なホテルでしたが、エレベーターがないので、もう泊まれない。
このカーテンは、十年以上変わらないのです。
洗濯もしているはずなのに、ちっとも傷んでいない・・・そのことが長いこと気になっています。

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帰国の日・・・朝早くバンブーの蚤の市に地下鉄で行きました。
楽しくガラクタを漁り、ゴミのようなものを買いしめ、10時過ぎにホテルに戻り、荷物をまとめチェックアウトをして
前の晩に予約していた同じイタリアンにランチに行きました。
80才のおばあさんが来ていました。イタリア人・・・ちょっと不良で、ものすごく素敵。

ここまでは、なにもかも順調で・・・本当にいい旅だったのです。
クーラーの効いたロビーで昼寝。

そのうち、なにやら外が賑やかに・・・デモかと思ったら、ホテルの受付のアンちゃんが言うには、若者の祭りだと言う。
大音響で音楽が流れ、なにか叫んでいる・・・外に出ると、ものすごい人です。
みな派手な衣装をつけて、まるで仮装パーティー。
空港までのタクシーは、4時に来る予定でした。

いつ来ても、パリのショーウインドウは楽しませてくれる。

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しかし・・・4時になっても、タクシーは来ない。
外の騒ぎも治まらない・・・着飾った若者たちが、延々とホテルの先の大通りを通っていきます。
問題ない・・・と、言っていた受付のアンちゃんの様子がおかしい。
電話をかけまくっている・・・汗びっしょり。
いやな予感・・・。
アラブ語なので、内容は全く分からない。


散歩の途中で、こんな中庭を見るのもパリの楽しみ。

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夫が地下鉄のオデオンまで様子を見に行きました。
デモは十字路のひとつの通りだけで、交差する通りのひとつはタクシーも来ている。
客を乗せていた運転手に聞くと、オデオンまでは来られるので、ホテルからタクシー会社に電話をすれば来るよと言われ、帰って来ました。
しかし・・・モハメッドは・・・アラブ人の知り合いの運転手にしか電話をかけない。
もう五時を廻っています。
「フランス人の、ちゃんとしたタクシー会社に電話しろよ ! 」夫が切れた。
モハメットは、アラブ語で電話をしまくる・・・断られる。

そして、ついにこう言った。
「タクシー、来ません・・・電車で行って下さい」
「行けねぇよ、この荷物、見てみろ・・・どうやって持っていくんだ ! このバカたれ ! タクシー、呼べ、フランス人のタクシー、呼べ !」
日本語なのに・・・この状況だと内容がわかるらしく・・・
モハメッド・・・力なく首を振るばかり。


このようなものを常に眺めているから、目が肥えるのね。

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さて、時間は過ぎていく・・・飛行機は八時出発、空港で買い物をする予定だったので、余裕を持っていたのだが・・・
若い友人に電話をかけて、それがゲイプライドのデモだと始めて知った。
「ヤバいですね・・・」
以前、使っていた日本人のタクシーの電話を教えてもらい、かけてみたが、留守電。
ヤバいです、もう、ダメだ・・・飛行機には乗れない。

同時に夫は、オデオンにタクシーを探しにいったが、タクシーは消えていました。
わずかに人を乗せたタクシーがオデオンまで来て、裏道を抜けていくだけらしい。

モハメットは憔悴した顔で言う。
「荷物はボクが運びます・・・もう出ないと間に合いませんよ。ホームまで運びますから、行きましょう」
「バカヤロウ ! お前が融通が利かないから、こういうことになるんだ ! 」・・・日本語。
「しょうがないよ、行こう・・・」私は自分の荷物を持って立ち上がりました。

それからが大変・・・
モハメッドは20キロはあるトランクを二つ持ち、夫と私が小さなキャリーバックをとボストンバックを持ってホテルを出ました。
モハメッドは怪力の持ち主でした。
ところが、群衆に遮られ、前に進めない・・・思い切り着飾ったホモたち、レズもいるらしい、普通の若い子たちもいる。
その極彩色の人並みを分け入りながら、ようやくデモの群れを抜けてから気がついた。
荷物がひとつ、多い・・・え、え、え・・・この大きなトランク、うちのじゃないよ。
モハメッドは、ロビーにあった他人の荷物まで持ってきてしまったのだ。
夫が再びモハメットを罵った。バカとか、このグズ、役立たず・・・ひどいね。

  夫は、盛んにモハメット ! と、彼を呼び・・・なんで名前知ってるの ? と、聞いたら、適当にモハメットと
  呼んだら、振り返った・・・というのです。

モハメットは、慌てて荷物を返しに、再び極彩色の雑踏に消えていきました。
もう、帰ってこないな、と、私は思いました。
この時、もうしばらく、パリにいることになるだろうと、確信しました。

しかし・・・モハメットは戻って来た。
列車の改札に入るとき、彼は自分のチケットを使いました。
そして、発車案内を確認・・・二番目に来る電車に乗るように言ったのです。
モハメットと夫は、ここでようやく握手しました。
当然、チップをやるものと思っていたら・・・あげないの。
こんな目にあって、チップなんかやるか・・・怒っている。

ところが・・・まだある。
二番目に来た列車は・・・空港には行かなかった。
満員電車の中で、大きな荷物を五つも持った日本人。
若い青年が気がついた。
「この列車、空港には行きませんよ・・・」やられた・・・。

モハメ〜ット!!!! お前は、やっぱり大バカものだぁ〜。

乗り換えました・・・まだ災難は続きます・・・列車にクーラーがなかった。
灼熱地獄・・・空港に向かう観光客は煮えながら空港に運ばれたのでした。
それから、これでもかというくらいの小さな困難が続き・・・当然、搭乗口にはひと気もなく、私たちが最後でした。

あはは・・・モハメット ! 振り返る彼の ”困り顔” が、いまも浮かんできます。
  あんなに困ったような顔を、私は見たことがありません。

帰国してから、一日に三度は思いだして、二人で笑っています。
ホテルに手紙を書いて、ありがとう ! と、伝えようと思います。

モハメットの人生最悪の日は、こうして幕がおりたのでした。

そして、もうひとつの災難・・・パソコンに取り込んだ写真のファイルが消えたのです・・・ポルトガルの旅、パリの旅が綴れません。
モハメ〜ット!!!






Commented by echalotelele at 2019-07-03 09:49
わけあって写真がないのは、そういうことなのですね〜〜
モハメッドーーー!!
これは叫びますよね。
そうです、本気で怒るときは日本語です!
あ〜、ゲイプライドのデモの日だったのですね。
思い出としては、楽しくて笑えるけど…
写真が…困りましたね。
どこかから、不意にそのファイルが現れるなんていうことになるといいなぁ。
でも、ご無事で日本に戻れてよかった!
Commented by オオアワクイ at 2019-07-03 10:46 x
お帰りなさい!!
季節が季節でプラス熱波、諸々お疲れ様でした。
ゲイパレードの日、サンジェルマン大通りを渡れなくて夕餉のムフタール行きを諦めた事がありました。
「想い出は敢えて確かめようとしない方が良い」っとだれかが書いていましたが、
拙者も2011年にそれを確かめて、以来脱國意欲減退、日本に籠もっています。
たまにグーグルアース/ストリートビューで確かめに行っても激変にガッカリ。
まっ、結果安上がりの日々!!
Commented by michiru at 2019-07-03 11:38 x
青目さんに首根っこつかまれ
この大汗道中読ませられました!


どうぞごゆるりと
ご養生くだされ。
Commented by oshibanayoshimi at 2019-07-03 11:51
おはようございます。
ちょっとした物語、しっかり拝読いたしました。
面白かった!(ごめんなさい)
ゆっくりなさってください、
Commented by takeshi_kanazaw at 2019-07-03 15:01
長いレポート、最後まで一気に通読。
流石に貴女のコメントは歯切れがよくて、ドラマチック。

そうですね、旦那様のせいじゃなくて、私でも切れますね・・・。
どうもパリのサービス業ではフランス人の従業員はいない?
フランス人はデモやストばっかりやっていて、働くのは言葉の通じない外国人ばかり。 まー、全部がそうじゃないでしょうが。
日本の東京もそうなるかもしれない・・・。
Commented by weloveai at 2019-07-03 16:21
大丈夫か?
間に合うのか?
どうしてくれるんだ!!
飛行機の中でお二人は爆睡だった事でしょう。
ゆっくりと、お疲れを取ってください。
Commented by o-hikidashi at 2019-07-03 16:30
お帰りなさいー!

うーん、青目さんも大変でしたね。
でも間の写真が素敵ー。

ワタシもイスタンブールで、オスマンという名のトルコ人に助けられました。アリガトー
前日知り合っていたのがラッキーでした。
遊んでばかりでエディルネ・イスタンブールの報告がまだ、急がなくては…。
Commented by Yoshi at 2019-07-03 17:58 x
今だから落ち着いて話の種にもなるけれどその時は絶望的だったのでしょうね、状況がわかるような気がします。
アラブの人だからゲイプライドのことなど知らなかったのでしょう。
こちら田舎もゲイプライド マーチなんてものはありませんがゲイは沢山います。


僕も若かった頃アムステルダムの空港の搭乗口で待てども来ない飛行機を待っていて乗り遅れたことに気がつきました、搭乗口が替わっていたアナウンスを聞き逃していたのです。
その頃は無料で次の日の搭乗に変えてくれました、若い頃はそんなバカな出来事もそれほど苦ではなかったですが今はもうできません。

Commented by こま at 2019-07-03 18:42 x
あーおもしろかった。
上質のコメディーをみているようです。
主演は、だれですかね。
モハメット?青目さん?
Commented by fran9923 at 2019-07-04 08:24
あ〜〜〜ははははは!!!
なんと!!
ここまでものすごく、ものすごく順調だったので、これは!!と思っていたらやらかしましたね。モハメッド〜〜〜〜オ!!
よかったですね。間に合って。
しかしまあ、写真が残念です。本当に残念。
Commented by aomeumi2 at 2019-07-04 11:37
echaloteleleさま
デモ事態は、なにごともなければ、それなりに楽しそうではあったのです。ものすごい暑さの炎天下で、若い人たちのエネルギー・・・と、奇抜な衣装。写真を撮るどころではなかったけれど。
知らないで使っていますからね、パソコン。勉強しないと。
Commented by aomeumi2 at 2019-07-04 11:44
オオアワクイさま
遭遇しましたか、あのデモに・・・すごいパワーでしたよ。
おいちゃんのブログに登場する、あの小さな角はすっかり変わりました。パリという街に観光客が訪れる・・・の図ではなく、観光用として用意されたパリ風の書き割りにいるような区分・・・鎌倉の何とか通りとかと同じ。鎌倉の人にとっては、あれは鎌倉ではないのでしょう。
Commented by aomeumi2 at 2019-07-04 11:48
michiruさま
ごめんなさ〜い・・・吐き出さずにはいられなくて、しかし、写真もない。偶然、ディスクトップに放置されていた古いパリの写真を使いました。昨日も、涙流して笑ったのです。
パソコンの写真を探しつつ、庭の木を切ったり・・・すごく元気です。
Commented by aomeumi2 at 2019-07-04 11:51
oshibanayoshimiさま
ははは・・・まだ笑っているのです。モハメットも、悪夢だと思っていることでしょう。手紙を出そうと思っています。人がいい奴だと思います。受け付けには、ずるい人もいて・・・モハメットでよかった。
Commented by aomeumi2 at 2019-07-04 11:57
takeshi_kanazawさま
長々と・・・読んでいただきありがとうございます。
国民性ってあるな・・・と。フランス人だったら助けてくれなかった・・・とも思います。他のアラブ人でも同様で、モハメットだから、助けてくれたのだと思います・・・彼なりに。
デモやストをやるのは当たり前です。普通の人は暮らしていけない。ものすごく高いです。日本はみな我慢して黙って働いている・・・外国人の給料はどちらも安いのだと思います。
どこも格差がすごいのでしょうね。
Commented by aomeumi2 at 2019-07-04 12:00
weloveaiさま
あんなに喉が渇いたのは人生で始めてでした。とにかく夫に水を飲ませようと、飛行機に乗り込んだときに水を頼みましたが・・・入り口の向こうはもファーストクラス。丁寧に断られました。シャンパンとかジュースの準備していたのに・・・水くらい、すぐ出せよ・・・ここでも格差を強く感じたことでした。
Commented by aomeumi2 at 2019-07-04 12:03
o-hikidashiさま
その話・・・ぜひアップして下さいね。
オスマ〜ン!!!
旅の事件は、あとになって、いい思い出になりますね。
Commented by aomeumi2 at 2019-07-04 12:11
Yoshi さま
ああいう状況で、私はすぐに諦めるタチです。その上でやってみる。夫は・・・怒りのエネルギーで戦う。
たくさんいるので、普通に受け入れられているように思えるけれど、なんの問題もないと思っていたけれど・・・社会的にはやはり損失を受けている、ということなのでしょうか ?
無料で・・・いまはどうでしょう。買い直さないといけないと、相当な損害ですね。ゲイプライドで遅れました・・・は、理由になるのでしょうか ? ANAに聞いてみようかしら ?
Commented by aomeumi2 at 2019-07-04 12:15
こまさま
喜んでいただけて・・・よかった。ははは・・・。
主演はもちろん、モハメットです。あの最中に、"映画にしたい・・・"と、思うほど、面白いシーンでした。
極彩色に着飾った、美しいゲイたちの中の、むさ苦しいアラブの男・・・困った顔が忘れられません。
Commented by aomeumi2 at 2019-07-04 12:19
fran9923さま
あ〜〜〜ははははは!!!
そうなんです・・・笑ってもらおうと思って。
本当に、イタリアンでゆっくり食事して・・・本当にいい旅だった、と、思っていたものだから・・・。
内心、夫とモハメットのやり取りが、おかしくて、おかしくて。
知らないで使っていますからね、パソコン・・・多分、単純な問題なのだと思います。
また、アップルにバカにされに行くしかないようです。
Commented by marsha at 2019-07-04 21:19 x
ハラハラドキドキして拝読させていただきました。

よく飛行機に間に合いましたねー。 メデタシ、メデタシ!!
スリル満点でしたー。

モハメッドはいい奴でしたねー。
アラビアンってフランス人よりよっぽど真面目で正直なんだ。
Commented by aomeumi2 at 2019-07-05 08:18
marshaさま
申し訳ありません・・・コメディーでした、まさに。
フランス人だったら、こんなこと絶対してくれないと思います。いくつか、選択肢をあげて、あとは自己責任・・・僕の問題じゃないし・・・ということになったと思います。
ただ、フランス人の受付なら、タクシーは呼べた・・・と、まだ夫は行ってます。ふふ・・・まだですよ。
by aomeumi2 | 2019-07-03 09:19 | ポルトガル便り | Comments(22)