人気ブログランキング | 話題のタグを見る

アメリカ嫌いの、ムッシュウ・ゴーギャンのジーンズ



この数年、ジュスチーヌ姉妹は、母親の誕生日にパリで過ごしています。
いつも同じホテル、同じレストランへ行き、ルーブルかオルセに・・・分かるわぁ、年をとると変化が苦手になるのです。
この、古びたホテル・ショパンは、最近、ブラタモリとかいうテレビで紹介されたそうで、日本人だらけを覚悟していってみました。
古びた・・・まさに私たちの好みのホテルです。

アメリカ嫌いの、ムッシュウ・ゴーギャンのジーンズ_b0396150_12523121.jpg



地下鉄を降りて、探しまわりましたが・・・なかなか見つからなかった、パサージュ。
暑い中、一時間以上歩いたでしようか。
なんだか、懐かしい感じ・・・この中に、ホテルショパンはありました。

アメリカ嫌いの、ムッシュウ・ゴーギャンのジーンズ_b0396150_12523981.jpg




古びたアーケード街です。
小さな蝋人形感が・・・閉まっていました。
あちこち、工事中でした。

アメリカ嫌いの、ムッシュウ・ゴーギャンのジーンズ_b0396150_12524731.jpg




朽ち果てたような古本屋が並び・・・あ、と思いました。
最初にパリに住んだとき、同じアパートにいた、気難しいおじさんが、ここで古本屋をやっていました。
ベルナール・ゴーギャンの店があった場所だと、思いだしたのです。
いやなお客が入らないように、店にはいつも鍵がかけてありました。
そして、いい本を散々、見せびらかせて、客が買いたいというと、惜しくなって売らないのでした。

いくつか覗いたけれど・・・椅子に座ったヨボヨボのおじいさんがいたけれど・・・まさか・・・もう死んだわね。
見かけないと、みんな殺してしまう・・・。

アメリカ嫌いの、ムッシュウ・ゴーギャンのジーンズ_b0396150_12525309.jpg





ゴーギャンさんは、新しいものが嫌いでした。
私たちが住んでいたモンパルナスのアパートは、モンパルナスタワーと呼ばれる大きなビルの向かいにありました。
ムッシュウ・ゴーギャンは、このビルを毛嫌いし、
「私は、モンパルナス・タワーの近くに住んでいます」などと、覚えたてのフランス語で言うと、烈火の如く叱られました。
「ノー、ノー、ノー ! モンパルナス駅の近く・・・と、いいたまえ !」

そんなことを思い起こしながら、流行っているらしいレストランでお昼を食べました。
私としては、珍しく冷えたビールを飲みました。
お客のほとんどが注文していた牛肉は・・・売れきれでした。
仕方なく頼んだ鶏・・・ソースが濃厚でした。

アメリカ嫌いの、ムッシュウ・ゴーギャンのジーンズ_b0396150_12530698.jpg





ムッシュウ・ゴーギャンは、アメリカが大嫌いでしたが、ジーンズは好きでした。
40年以上も前のパリでは、アメリカ製のジーンズを手に入れるのは難しかったのだけれど、あるとき、彼はジーンズを履いていました。
しかし・・・腫れ物を扱うように大切にしていたジーンズを、彼は洗濯屋に出しました。
アイロンがかけられ、縦にくっきりと線の入ったジーンズを、それからも、ゴーギヤンさんは自慢そうに履いていました。

夫は、ハムサラダと、なぜかフィッシュ&チップス・・・パリで ?
まぁ、たまには、おいしいものでした。

アメリカ嫌いの、ムッシュウ・ゴーギャンのジーンズ_b0396150_12530031.jpg

アイロンがけされたジーンズを履いた、ムッシュウ・ゴーギャンと、「東京物語」を見に行きました。
「なんて、上品な人たちだ・・・」と、彼は号泣したのでした。

あとで分かったことでしたが・・・ヨボヨボのおじいさんは、どうやらムッシュウ・ゴーギャンだったようです。
ずいぶんと年上と思い込んでいましたが・・・まだ80になったかならないか。
生きていても不思議ではありません。
まだ、ジーンズを履いているのでしょうか。






Commented by o-hikidashi at 2019-07-15 22:42
あっ、「ほんの・・・・」にの、めちゃ渋いムッシュ!
渋い、なんて浅い言葉でのお方でもないなあ。
拝読した時「わー筋金入りのかっこいいお方」とちょっと憧れました。怖いもの見たさ的に。
ザンネンです。
次回パリに寄られましたらひょいと寄られて、ムッシュ喜び過ぎてどうなるだろう?…ブログでの紹介ワクワクして待っていますー。
でもブログ急がないとー?
Commented by echalotelele at 2019-07-16 04:45
私も近代的なモンパルナスタワーは、苦手だなぁ。
屋上に上ったことがありました。怖かったです。
モンパルナス駅はいいですね。
そういえば、「モンパルナスの灯」という映画がありましたね。ジェラール・フィリップが主役でしたね。

ムッシュウ・ゴーギャンは、エレガントなムッシューですね。ヨボヨボでも、きっとエレガントのままだったことでしょう。
「東京物語」、確かに上品な人たち・・・ですね。
いい映画だったな。

行きつけのホテルができると、他をもう探さなくなりますね。
このホテルもいいですね~
あ~、すっかりパリにいる気分です♪
Commented by kuukau at 2019-07-16 07:51
路線バスで降り損ね、終点のモンパルナスまで連れて行かれた時、タワーの写真だけ撮りました。
何十回とパリに来てる友人が「写真撮っといてよ。もうくる事ないし」と。彼女も初めてでした。パサージュは2,3箇所行きましたがどこも分かりづらい場所でした。イボイボの靴を見て「誰が履くの」と笑ってたらルブタン本店だったりするから面白いよね。
Commented by fran9923 at 2019-07-16 08:07
すごい。まだこんなところがあったのですね。
ほんと、このホテルショパンが素敵。
これじゃ、わかりませんよね。
いや〜〜、ゴーギャンさんとすれ違いましたね。
もしうまく話ができてたらどうだっただろう!!
妄想が膨らみます。いや〜〜、面白い!!
Commented by aomeumi2 at 2019-07-16 10:09
o-hikidashiさま
渋すぎる・・・いつも不機嫌でした。本を売らないのでお金がなかったのです・・・。
「ほんのひとさじ」読んで下さっているのですね。ありがとうございます。はなしが重なって、申し訳ないです。
感情を外に出さない人ですから、喜ばないと思う・・・うれしいだろうけれど。
Commented by aomeumi2 at 2019-07-16 10:13
echaloteleleさま
あの街には似合わない建物でしたね。
私も一度だけ登ったことがあります・・・自分のアパートを見たかったのです。駅はいまだに古いまま・・・いろんな人種が行き交って、好きなところです。
そうですね、エレガントなおじさまでした。小津が大好きでした。黒沢は嫌い・・・趣味が同じです。
パリにも懐かしいような場所がたくさんありますね。
Commented by aomeumi2 at 2019-07-16 10:18
kuukauさま
行き慣れないと、遠く感じるのでしょうか ? サンジェルマン・デ・プレもボンマルシェも目と鼻の先、十分もかからないと思います。タワーからまっすぐ教会に向かう間に、素敵な店がたくさんあります。
パサージュは40年ぶり・・・すっかり忘れていました。隠れた名店が並んでいました。
Commented by aomeumi2 at 2019-07-16 10:21
fran9923さま
懐かしいようなところでした。古本好きにはたまらない場所です。真新しい日本の版画の店などもありますが・・・いいエッチングがたくさんありました。
ショパンは、一時、日本人だらけだったようです。中には入りませんでした。
ゴーギャンさんが、まだ店をやっていることは、翌日知ったのです。残念だったような気もします。
Commented by o-hikidashi at 2019-07-16 22:25
話が重なって申し訳ない、なんてそう思わせるコメント書いてごめんなさいー。
全然重なってではなく表現というか文章が違う?のでより楽しめます。
本用にとブログ用?というのでもないかなあ。
ある文章教室で「作家になるのは100通りの書き出しができなければいけない」と言われましたが、そんな感じ?
Commented by aomeumi2 at 2019-07-17 10:13
o-hikidashiさま
いえ、いえ、こちらこそ。「ほんのひとさじ」手に入るのですね。うれしいです。短歌の方が多い読み物です。出版社が短歌の作家を育てているらしいです。
あちらでは、基本的に外国のことを書いているのです。
100通りの書き出し・・・なるほど。書くほどのことかしら ? と、いつも迷いながら書いています。
Commented by maikoscts2019 at 2019-07-17 18:03
青目さん、さすがですね。
のめり込んで読んでしまいました。
コメント残すのも、私の文章じゃ
恥ずかしいくらい。
ゴーギャンさんの折り目の入った
ジーンズ・・・ジーンズを愛していたのですね。粋なお話ですね。
Commented by aomeumi2 at 2019-07-18 10:23
maikoscts2019さま
まぁ、うれしいです。
近頃は、思い出話ばかり・・・お退屈さま・・・という感じながら書いているのです。
若い時の年上は、うんと年が離れているように感じるものですね。ゴーギャンさんは、当時、40代だったと思います。
by aomeumi2 | 2019-07-15 13:30 | ポルトガル便り | Comments(12)